道路緑化は、道路機能の向上と道路環境の保全を目的として、道路区域内に既存の樹木を保全する。又は、新たに植栽し、これらを管理していく行為である。その設計に当たっては、道路計画及び地域特性に適合した道路緑化を推進し、緑化の機能を十分に発揮させるため、緑化目標、植栽計画及び管理計画からなる計画を策定し、これら計画に基づいて行うこととする。そして、安全かつ快適な道路交通環境の整備、及び良好な道路景観の形成を図っていくものである。
道路緑化には大きく分類して次のような機能がある。ここの道路植栽は複数の機能を有するものであり、これらの機能が総合的に発揮されるよう努めることによって、親しみのある道路環境の創出を図る必要がある。
①景観向上機能
緑化特有の機能であり、装飾、遮へい、景観統合及び景観調和で説明される諸機能が複合的に作用することにより、道路や沿道における良好な景観の形成を図ることが出来る。
②生活環境保全機能
具体的には、交通騒音低減、大気浄化等の機能からなる。これらはここには遮音壁の設置等、その他の手段に卓越するほどの絶対的な効果を有するものではないが、道路植栽、あるいは都市の緑全体としてとらえる非常に大きな効果を有しているといえる。
③緑陰形成機能
一般には、微気象緩和機能として説明されるもので、樹木に枝葉が上空を覆う。いわゆるキャノビー(天蓋)効果によって寒暖や乾湿等の変化を緩和し、道路利用者に快適な空間を提供するものである。
④交通安全機能
道路施設としては最も直接的な機能であり、社交、視線誘導、交通分離等で説明される諸機能により、安全で円滑な道路交通の確保に資するものである。
⑤自然環境保全機能
沿道の貴重な既存植生に対して、道路建設に伴う地形の改変や自動車交通による生育環境の変化を緩和する機能であり、風の吹込みや日照の入込みによる林内の乾燥を防ぐものである。
飛砂防止や吹雪防止等の機能の他、直接的な機能ではないが火災延焼防止も含まれる。