岩盤緑化

 開発による切土に伴い、出現する法面の地質は、様々であり、単に土とか岩とか一口に片付けられる種類のものではない。岩盤法面の植生工安定化効果は浸食の防止であり、土圧に対しての対応効果は皆無である。
 しかし、根が土中深く根張りのよい木本類が生育した場合は、ごく薄い表層土の滑落防止や細片化した岩法面の呪緊縛効果があることは知られている。したがって岩質法面でも法面の状態によって、どんな植物を導入すべきかは重要な問題である。一般には、植物の根茎の侵入する余地もない一枚岩や大きな間隔の層理や節理で構成されている硬質な岩盤法面は安定していると考えてもよく、環境保全要求がない限り、敢えて植物の導入を行う必要はないと考えられる。
 硬質で安定している岩盤法面は、地域環境や景観面の配慮を必要としない場合、無処理で放置しておいてもよいわけであるが、稀に発生する落石などから法面下の道路や施設の安全を確保しなければならない場合もある。また、景観造成の点から法面の一部を緑化するとか、全面を緑化したい場合もあり、法面が出現した位置、地形、地域環境、景観などからよく検討してふさわしい姿、形とすることが望ましいと考える。

EGKバッグによる岩盤法面の緑化事例

 ここでもまた、岩盤法面緑化はコンクリート壁面の緑化と同じと考えれば良い。
前記、壁面緑化に同じく、常緑キリンソウ袋方式(EGKバッグ)では、下記の特性がある。
・EGKバッグにより、土壌の流出防止ができ、恒久的な緑化が可能である
・コンクリート壁面など、簡易的なアンカーで簡単に固定できる。
・砂防えん堤と同じく、観光地など景観に配慮する地域にでも簡単に施工可能。
・急峻勾配(1:0.2より緩斜面)でも、天然雨水のみで、恒久的な緑化ができる。
・常緑キリンソウは耐潮性があるため、海岸部の構造物の緑化提案が可能である。
 (これはトットリフジタ1号の原種は海岸部に自生していたことに起因する)

亀裂の岩盤法面への常緑キリンソウ(セル苗植栽)導入例