土木工事によって発生した法面は、これまでにモルタル・コンクリート吹付工が多く施工されてきました。経年に伴う老朽化により、吹付法面の修繕工事が行われるようなってきましたが、その取り壊し方法や取り壊した後の廃材柄の処分といった問題が発生しています。さらに、人工色のモルタル・コンクリート吹付面は周囲の自然環境と調和しない景観上の問題も指摘されてきました。地山が強固たる岩盤あるいはモルタル・コンクリート等を吹付けした法面は地山自体に水分の補給がなく、根入れが困難なため、植生する植物の選択は、外来草本が中心となっている。
法面の緑化工事の最終的な目標は、法面の安定化と周辺植生への早期の復元であり、施工地の周辺に自生する植物で緑化を図りたいとの要望はあるが、法面の種子配合を実際に見てみると、外来草本のみである。
肥料要求度の高い外来草本が衰退した後、施工地周辺に自生する樹種の侵入は画に描いた餅である。 根茎が侵入可能な植生基盤を造成できない場合、復元目標を木本類に選択することは無謀である。肥料要求度の少ない、恒久性のある植物を選択することは、メンテナンスの出来ない土木的構造物には欠かせない必須事項である。
モルタル吹付面の緑化はコンクリート壁面の緑化と同じと考えれば良い。植生する基面が緩斜面の分だけ、植物への負担は少なくてすむ(降雨による水分補給&保水)と考えるべきである。
EGKバッグによる全面緑化は可能であるが、土木的には施工規模が大きくなる分、金額的に大きな負担となる。
その場合、施工事例写真のような形態を選択することは有効である。
常緑キリンソウ袋方式(EGKバッグ)では、下記、特性がある。
・EGKバッグにより、土壌の流出防止ができ、恒久的な緑化が可能である
・コンクリート壁面など、簡易的なアンカーで簡単に固定できる。
・砂防えん堤と同じく、観光地など景観に配慮する地域にでも簡単に施工可能。
・急峻勾配(1:0.2より緩斜面)でも、天然雨水のみで、恒久的な緑化ができる。
・常緑キリンソウは耐潮性があるため、海岸部の構造物の緑化提案が可能である。
(これはトットリフジタ1号の原種は海岸部に自生していたことに起因する)
EGKバッグによるモルタル吹付面の緑化事例